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2010年2月22日 (月)

映画評:       

サヨナライツカイ・ジェハン監督)。

出世のための結婚を控えた男が、勤務地の

タイで謎の富豪女との愛欲に燃える話。

出来の悪いファムファタールものに見えるが、

よく見るとそうではない。人生のほんの一瞬

の恣意的な出会いによって、2度と人生に

戻れなくなってしまう男と女の話なのである。

男は数カ月だけ謎の女との愛に燃えて、その後

予定通り幸福に結婚し、出世するが、“その後”

の人生は、彼にとって意味のないものになって

しまう。(在りて無きものとして生きることを

強いられたのである。)

この物語は、山崎豊子の不毛地帯の瀬島龍三と

比べてみると面白い。瀬島は戦争責任とシベリアを

背負いながらも、戦後を“意味がある”かのように

生きた。(多くの兵士は、戦後の人生を“意味がない”

かのように虚無的になったにも関わらず。)

これは瀬島がやはり決定的には“戦争”とは

出会ってなかったことを意味しているのではないか。

ボーイズオンザラン(三浦大輔監督):

ダメ男が、本気で惚れた女のために

女を傷つけた男と決闘する話。

主人公のダメ男は、この女に決定的な

“他者性”を突き付けられ、初めて大人への

入口に立つことができた。(どんなに惚れて

どんなに尽くしても女は男を拒絶する。)

他方、女を傷つけた男は、全てが予想通り

の世界から出ることができない。(女も

簡単にものにできたので、簡単に捨てた。)

この男は故に(全てが予想通り=他者性のない

世界にいる)他者性に出会うことができないので、

大人になれない。

その苛立ちこそが、決闘でダメ男をなぐるときの

“おまえ、うすっぺらいんだよ!”という

台詞につながる。

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